憧れのアナタと大嫌いなアイツ

可愛らしいチョコレートケーキを食べるとウッカリ頰が緩みそうになる

お腹に力を入れて気持ちを立て直しながら
お昼を食べ損ねた本日二回目の食事が終わった

テーブルの上のキャンドルが灯されて部屋の明かりが少し落とされた

凄くムード満点なんですけど・・・

心臓が忙しく動き始め
目の前に座る柊が気になる

『攻めて攻めて攻め落とす・・・』

さっきの言葉は本当なのだろうか
もしかしたらドッキリなんじゃないか
そのうちに得意げな表情で

“お前、アレを信じたのか”なんて高笑いされるかもしれない

「花乃」

恨み辛みを言ったから仕返しの為のプロローグで
ここは恩を売る食事なのかもしれない

「花乃?」

大体・・・柊とは7年前に会ったっきりで
ニアミスすら無かったのだから
“ずっと好きだった”なんて言われても
俄かに信じ難いよね

「花乃!」

「へ?」

「何度も呼んだぞ?大丈夫か?まぁ、百面相は面白かったけどな」

「あ、うん」

「うんって、ハハハ」

お腹を押さえて笑っている柊をボンヤリ見ながら

アレコレ考え過ぎて妄想が広がってたことを思っていた

でも・・・

藤堂室長との妄想みたいにお花畑へ行くことは無くて

堂々巡りばかりを繰り返すのは

認めたくないけれど

コイツが気になっているから・・・


ずっと二人きりの空間も
全く緊張せずに過ごせていることも

そこに繋がっているのかもしれない






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