優しい恋



音楽室に行くと、座って。と言われ
よくわからないまま、席に座った。


「先生、何するんですか?」

「特別授業」

「特別授業?」

「音楽の授業出たかったって言ってたから」


先生…覚えててくれたんだ…


「あと、これ。
お昼に他の先生に貰ったんだけど
あげる」

「でも、先生が貰った物だから…」

「食欲無いって言ってたから
お昼食べてないでしょ?」


先生、何でも覚えてるんだ…
凄いな…





「あげる」

「ありがとうございます…」




小さい袋の中に、お菓子がたくさん入っていた。






「それじゃあ、特別授業始めます。
歌うね」

「他の先生に聞こえちゃいますよ」

「雨の音で聞こえないから大丈夫」


そう言うと、先生は歌い始めた。











この曲…昨日も歌ってくれた…

好きな曲書いてね。って言われて
この曲を書いた。

先生が歌ってくれた、大切な曲。
雨の音を掻き消すほど、綺麗な歌声…


先生…ありがとう…





もう、こんな気持ちになると思っていなかった。

先生の優しさに触れて、どこかで思っていたのかもしれない…







先生が……





好き。




もう少し、雨が降っていてほしい。

先生と一緒にいたい…



長く生きられないけど
それでもいい…





先生に…

恋をしていたい…



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