優しい恋

始業式が終わり、教室に戻ると
実菜が堰を切ったように話し出した。

「林田先生かっこいいー!!
音楽の授業楽しみ〜。
毎日音楽の授業がいいなぁ〜。
美咲はどう思う?林田先生のこと」

「どうって…先生だから特には…」

「もお〜、美咲はおしとやかなんだから〜

今日はもう終わりだから帰りに林田先生に会いたいな〜」









ガラガラ…

「え?!林田先生?!何で?!」

他のクラスメイトも騒ぎ出した。

「はい静かに。
今日から赴任された林田先生は
副担任になりますので、 慣れてもらうためにHRをしていただきます。
林田先生お願いします」

「みなさん初めまして。林田 智です。
まだ来たばかりで慣れませんが
みなさんと一緒に楽しい学校生活が
できればと思います。
よろしくお願いします」

「「お願いしまーす」」

先生のはにかんだ顔が、少しだけ幼く見えた。


「HRが終わったら、2学期の行事の話があるので、桜井さん」

「はい」

「学級委員長だよね?」

「はい」

「お願いします」

「はい」

「まだまだ暑い日が続くので、熱中症に気をつけてください。
2学期も頑張っていきましょう 。
HRは以上になります。
気をつけて帰ってください。
桜井さん、号令お願いします」

「起立、礼」






「桜井さん、準備してくるから待っててください」

「わかりました」

みんなが騒ぐ中、先生は教室を出て行った。



「いいな〜美咲、先生と話せて。
私も残りたーい!
学級委員やりたーい!」

「一緒に帰れなくてごめんね。
気をつけて帰ってね」

「また明日ね〜」




みんなが教室を出て行き
私は1人、先生を待っていた。
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