殿堂入りの君は、俺のもの
 ――てめえら。

 誰に物言ってんだ? 何も知らねーくせに……。美沙の魅力について、何一つ知らないくせに……!

 とうとうブチ切れた俺は、とりあえず持っていたぞうきんを三人のうちの一人に投げようと、手を振りかぶった。

 ――しかし。

「大輝―? 私さ、日直の仕事があるから、ちょっと遅れるんだけど」

 教室のドアから、愛しい声が聞こえてきた。……美沙だ。わざわざ委員の仕事に遅れてしまうことを、俺に言いに来たのだ。俺は慌てて、振りかぶった手をすっと下ろした。

「……うん」

 俺は曖昧に返事をした。例の三人に対しては怒りを感じているけど、ここで怒ったら……三人が美沙について酷いことを言っていたのが、美沙に知られてしまうかもしれない。

 そう途惑っていた俺であったが。

「噂をすれば……」
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