殿堂入りの君は、俺のもの
「うわ、やっぱ眼鏡あつー」

「ありえね。やっぱブスだよ」

 ぼそぼそと、三人は会話を交わす。絶対に美沙には届かない声。しかし俺はもちろん、ばっちりと聞いていた。

 こいつら……!

 瞬間、三人をボコボコにしてやりたい衝動に駆られたが、俺は慌てて踏みとどまる。――もっといい方法を思いついたんだ。

 この三人に、てめえらの基準が間違っていることを伝える、一番手っ取り早い方法を。……俺としてみれば、こいつらなんかに美沙の魅力が伝わるなんてもったいない気がしたが、美沙をけなされるのは、もう我慢ならなかった。

「……美沙」

 俺は笑みを浮べて、美沙の名前を呼んだ。美沙は“ん?”と首をかしげる。

 そして俺はこう言った。

「眼鏡汚れてる。ここからでも分かるよ?」

「え、うそ」
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