異世界トランスファ
「ウケるよな。俺は、本当に運命だと思った。いや、思ってた。
神様が俺に与えてくれた奇跡なんだって」


待って、怖い、どうしたの!?だれか助けてギンが変!!!


私は恐怖に苛まれた。


「でも、違った」


ギンの声が震えてる。


「お前との出会いは・・運命なんかじゃなかったんだな」


ギンが私の口から手を離し背を向け、私はようやく声を出すことが出来た。


「ギン!?一体何があったの!?仕事で何かあったの!?」


「ハッ・・」



ギンは笑った。

だがとてつもなく乾いた笑いだった。


「仕事じゃねえよ。お前の事考えてたんだよ」


ドキッ


「今日、城の女見てきたよ。俺を見て嬉しそうにキラキラ見つめて。お前とは大違い」


「え・・」


そうか、だから思い詰めてたんだ。


「一番近い存在のお前が、俺をずーっと拒んでよ。なんか・・滑稽だった」


「こ、拒んでないよ!嫌いじゃないし!」


と答えると、ギンは強く私の手首を握った。


「じゃあ抱かせろよ。俺を受け入れてくれよ!お前が好きなんだ!!ダメか!?」


真剣な目。だが辛そうにもしている。

必死さが伝わってきた。

でも私は答えることは出来ない。頭が真っ白だ。


そ、そんなに私を?

ただエロい目で見てるだけじゃなかったの?

いつも冗談ぽい癖に。

真剣な瞳が私を刺す。


「あんなに女がいたのに、お前の顔がチラついた。最低最悪だった」


私の手を放すと、ギンは服を手に取って着はじめる。


「胸もあってスタイルいい美女ばっかで、でもお前の方がいいって思っちまったんだよ!」


「ギン・・」


「でも、現実はこうだよ。・・お前なんてこの世界に来なけりゃ・・あの時見つけなきゃ良かった!!」


「ひ・・ひど・・」


「ああ、酷いな。もう顔もみたくねえな!」


最後にそう言い残し、すぐさま部屋を出て行った。

私を部屋に残したまま。



「ギン・・・」



どうすれば良かったの?

私は・・・



私はそのままベッドからズリ落ちた。

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