異世界トランスファ
「・・失礼いたします」


と一人の男が強引にナギのTシャツをめくった。


「・・・!」


王族の証だという焼き印。

それを見て男たちはたじろぐ。


「貴方様はもしや行方不明のイザナギ様では!?」


「ちっ」


ナギは小さく舌打ちした。


私にはなんの事だかさっぱりだが、実は王族の焼き印は一人一人模様が違う。

十番目の王子の証の焼き印だったのだ。

東の国ではナギの手配書が各地にあり、警備隊たちはその印を頭に入れている。



「違うって言ってんだろ!ふざけんな!!」


「あっ!」


ナギは私の手をとって反対方向へと走り出した。

それを見て警備の男たちは慌てて追いかけてくる。


「お待ちください!おい!誰か!お前、人を集めてこい!解放軍よりも凄い事態だ」


「ははっ!」


リーダー格の男が他の仲間に指示をしながらナギを追いかける。

長年消えた王子の行方を、今の王が探しているのだ。


「こんなチャンス・・絶対に逃さん!!」


と目をギラつかせながら私とナギを追いかけ来た。

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