異世界トランスファ
私達はご飯を食べた後に、宿に泊まろうと街を散策していた。

丁度あった宿を訪問してみたが


「んー。宿屋一軒しかなくて、満室だってよ」


「マジか。もう日が暮れるってのに」


「どうしようか・・」


と3人で途方に暮れていた。


そんな時。



「あら?さっきの」


と、女性の声が後ろから聞こえてきた。


「あ、レストランの・・」


「ええそうだけど・・どうしたの?何かお困り?」


振り返るとレストランでウェイトレスをしていた女性が立っていた。


「宿が満室だって」


「まあ、予約もせずにココに来たの?弾丸ねえ」


ええ、城から逃げ延びてきましたゆえ。

と心の中で答える私だ。


「ところで、どこの国から?」


「えっと・・」



たじろぐ私を後ろにして、ギンが答える。


「東の国だ」


「え?そんな遠くから・・」


女性は驚いている様だ。


そうだね。結構距離あるもんね。


「まあ、なんとかするさ。じゃあな」


とギンが潔く女性に挨拶すると、女性は私達を呼び止めた。


「あの、良かったら私の家に泊まっていきますか?」


「え?」


いいの?


と3人は振り返った。


「東の国のお話を聞かせてくれる代わりに。ですけど」


「・・・」


ギンはすぐに察知する。

恐らくこの女は国の諜報員だ、と。


「ああ、いいぜ?でも、生い立ちくらいしか話せねえよ?」


「かまいません。東の国の人々がどんな暮らしをしているのかだけでも知りたいです」


ギンはじっと何かを考えてるようだったが、すぐに承諾した。


「じゃあ、厄介になりますか」


「ギン?」


「いい人そうだしな」


まあ、ちょっと鼻の下伸びてますけどね。


私とナギは呆れてため息をつきながらギンの後ろについていった。

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