異世界トランスファ
宿について一休み中。

ナギは近くにあったポットからお湯を注ぐ。


「ハーブティーだってよ。宿屋の女将がくれた。落ち着くぞ」


「あ、ありがとう」


私はカップを受け取りちょっとずつそれを口に含んだ。

ナギは私の落ち着いた顔を見ると、不安に思っていたことをギンに伝えた。



「そういや本当に良かったのか?センリの死をトキワに伝えて」


え?そうなの?

と私はピタリと飲むのをやめた。

ギンを見るとちょっとだけ難しい顔をしている。

ツカサ達と話し合った結果、無事だった兵士にトキワへセンリの死を伝える様に頼んだらしい。


「これはある意味賭けになるが、身内は俺達かトキワになる。それにセンリを失った今ツカサ達はなんとかトキワに近づきたいと思ってるし。
ツカサ達には助けられた恩もあるしな」



私が呆けてる間にそんな話になっていたなんて。

でも確かにそうだ。この後センリの亡骸をどうするかっていう話になって同然だし。

勝手に埋葬も出来ない。

センリは今は協会に安置されている。


「センリがこっちに来ていた事はトキワも承知のハズだしよ。音信不通になっても不思議に思ってやってくるに違いない。
だったら、本当の事を伝えた方が有利だ」


「なんにもなけりゃいいんだ俺は・・」


「ナギ・・」


ナギの不安は大体的中する。

私もナギを信じてる。


「もし、またヒオリを狙ってくるんなら・・」


「王様は普段はいい人だったよ?私がセンリと両想いだったら諦めようとしてたって初めに言われたし」


「なんだそれ」


「だから、ちゃんと私には結婚の意思がないって伝えれば、きっとわかってくれる・・・と思う」


「多分か・・・・」


憶測でしかないけどね。


「でも薬の事もあるし、簡単には信用できねえ」


「あれは・・今思うとセンリがよかれと思ってやったのかもしれない。王の事を思って」


「うーん・・何とも言えねえな」


「まぁ・・そうなんだけどね」


3人して腕組みのポーズを決め込んだ。


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