異世界トランスファ
「ヒオリの為だろ」


「・・・え?」


いやいや、だって、理解が出来ない。アホでごめんなさい。


「だって・・私はギンに・・」


距離を置かれたんだよ?


「クソめんどくさ。ヒオリって出会った頃からだけど、鈍すぎる」

「え・・」

「ああ、それは俺も感じてる。トキワ様も嘆いていた」

「え?センリ・・何それ」



アサギさんと、クレハちゃんは目をウルウルさせてる。

そして私の手を取って教えてくれた。


「ギンさんは、ヒオリさんの為に。装置を探してくれてるんだよ。命がけで」


「クレハちゃん・・」


「言ってなかった?ヒオリさんの時代を見たかもしれないって。だから、きっとヒオリさんをもとの時代に帰そうとしてくれてるんじゃない!!?」


「あ・・・」



嘘・・。

本気で?

私の為に?

ギンが?



「嘘・・嘘だぁ」

「信じてあげなよ。きっとそうだよ。違うって言われたら、私がぶっ飛ばしてやるよ」

「アサギさ・・う、うん・・そっか、そうだったんだ・・そう・・」


そうだったら嬉しい

でもそれを通り越して

不安が体を駆け巡る。


ギン

無事でいて。

絶対に無事に帰ってきて。




私はもう、帰れなくてもいいから。

ギンの傍に一生いたいから。


溢れてくる涙を両手で受け止める。


「逢いたい・・」


本音が声となって無意識に出て来た。


ギンに逢いたいよ・・。

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