異世界トランスファ
「じゃ、ヒオリ。ゆっくり休むんだよ」

「センリ・・うん・・」

「皆、ヒオリを休ませてやるんだ。行くぞ」

「わかったから引っ張るなよ!」


センリはナギを引っ張る様に連れて行った。


「そうだな。私達は隣の部屋にいるから、何かあればすぐに呼んでくれ」

「あ・・ありがと・・」

「ヒオリ、おめでとう」


アサギさんもクレハちゃんもちょっと複雑そうな顔に見えた、

その顔が妙に焼き付いた。

皆本当はこの事、どう思っているんだろう。



パタン。


扉が閉まって、部屋は静まり返った。



「ここに・・・いる?」



赤ちゃんが?

全然実感が湧かないけど。

私とギンの子が?


「っ・・・」



じわっと涙が溢れてきて、シーツを濡らした。


怖い。

ギンに逢うのが。

そもそも逢ってくれるのかな?

皆がいう、『私をもとの時代に戻す為に今必死になっている』だとしたら・・・

やっぱりこれは良くない事なんじゃないのかな?

困らせるだけじゃないのかな?


そんな思いが頭の中を駆け巡り、素直に喜べないまま時間は経って行った。


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