異世界トランスファ
結果。



「おめでとうございます。ご懐妊です」


「・・・・・」



え?え?なんて?



何を言われたのか理解不能だった。

周りの皆は唖然としている。


「・・・・・・・・え?」

「ですから、おめでたですね。もしや、トキワ王の御子を?」


カアアアアアア


急にそんな事を言われ、一気に全身が沸騰した。


「え?あ?は?ちちち、違います!!違う!!」


「え?でもあなたは・・」


「違うんです!!あのっ」


とパニックになっている私の口をナギの手が塞いだ。


「先生、その話は古い。てか、こいつは実はトキワの妃じゃねーんだ」


「・・・と言いますと?」


「あれはトキワに悪い虫を付けたくない西の大臣が仕組んだ事なんだ。だから誤解なの」


「ほお・・」


キョトンとしている先生。


「では一体どなたの・・」

「実は俺むぐぐっ」


冗談なのか本気で言おうとしたのかわからないナギの口を、センリは強引に手で塞いだ。


「ヒオリの相手は今ここにはおりません。それからこの事はくれぐれも他言無用でお願いします。
皆、驚くでしょうし」

「そうですな。まさかトキワ王の妃はカモフラージュだったとは・・大騒ぎになります」

「ええ。頼みますよ。先生」

「くれぐれも無茶はなさらないように。では失礼します」



全員は医師に深々とお辞儀をして見送った。


「てんめぇセンリ!!」

「ったく、悪ガキ。変な事言ってヒオリに迷惑かけるな」

「ちっ。だってよ・・もしアイツが戻って来なかったとき・・」

「馬鹿。言うな」



ドキン



アイツとはギン。


私は呆けながらも、ギンの顔を思い出した。


確かに。この事を知ったとして、ギンはどんな反応をするんだろう?


喜んでくれる?

それとも迷惑?




知りたいけど・・・凄く怖い。



一気に不安に襲われた。
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