異世界トランスファ
ギンは私の背中を撫でながら、思っている事を正直に打ち明けてくれた。


「お前の本当の人生を、返してやりたかった」

「ぇ・・?」

「お前の人生はこの時代のものじゃない。本当は俺達と出会わずに、他の誰かを好きになって、
結婚して子供産んで、そんな平凡な幸せをつかむハズだったんじゃねえかって思ってよ」

「ギン・・」

「あの装置でお前の時代が映っているのを見て・・・どうしても、帰してやらなきゃなんねえって思ったんだ」

「・・・」


それを聞いて思わず涙が溢れてしまう。

ギンは辛そうにクシャっと笑った。


「でもな・・やっぱ辛かった。俺はやっぱりお前が好きだし、本当は離れたくないし・・
やる事やっといて言うのもなんだけど・・・」

「ば、馬鹿・・」

「でも勢いであんな事した訳じゃない」

「・・うん」


それは私もそうだ。

この人と出会えて良かったとさえ思ったんだ。

想いは一緒だよ。



「でもよ・・好き・・だからこそ・・諦めた方がいいんだって勝手な判断した」

「うん・・」

「お前と距離をとったのも・・悪かったと思ってる。大人げなかったな」

「ギンはもともと子供っぽいとこあるけどね」

「お前、反撃すんなよ。本当に反省してる」

「はは、ごめん・・」

「でも・・あの時はそうするしかないと思ったんだ」

「・・そっか」


あまりにも真面目な会話だから。照れくさくなってしまった私だ。
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