諦めたけど好きです
片思いは変わる


どうしよ……………


私はフラフラと家の玄関に入った。



秀にプレゼントを渡したかっただけなのに……………

「関係ない」なんて言い過ぎたよな………


「……………………………………っ………………………………」




辛いよ……全部空回りしちゃう…。


いつも、あなたに何を話せば笑ってくれるか。

いつも、あなたに話せる時はどこか。

いつか、あなたは私を好きになってくれるのだろうか。


あなたと話したい。


あなたと手をつなぎたい。


あなたと一緒にいたい。



「あーあ。」


私はあなたに何回泣かされるのだろう。


秀には好きな人がいる。私は邪魔かな。

なんで届かないのかな。





もう、無理なのかな。





ー翌日ー



「オーイ!那奈!昨日はどうだった…ってどうしたんだよその顔!?」


「おはよう。光樹…………」

みんなに聞かれるだろう。私の顔はパンパンにむくれている。

昨日はずっと泣いていたから洗顔程度じゃ治らない。


「何かあったのか?ひどい顔だぞ?」

「うぅっ………………………………」

今優しい言葉をかけられたらすぐに泣いてしまう。
「わぁっ!なんで泣くんだよ!痛いの?どうした?」

「ふっ……………………う…………」

涙が止まらない。どうしようもない。

不安でたまらないのだ。

好きな人がいると聞いても、どこかで私の可能性もある。なんて思ってた。

もし、万が一に秀が私を好きだったとしても。昨日で崩れただろう。

あんな怖い秀は初めてだ。

あんなに怒らせたのも初めてだ。

「…光樹…どうしよぉ………」


情けない声が漏れた。


「…………何があったんだよ」

光樹は私を屋上に連れてきてくれた。

11月の冷たい風が火照った私の頬にあたる。気持ちいい。


「…それで何があったんだ?説明してくれ。ゆっくりでいいから。」


「…………うん。」


私は昨日の事を光樹に全部説明した。

途中で泣きそうになったが頑張って耐えた。
また泣き出したら止まらなくなるから。


「…どうしよ…………あんなに怒った秀見たことない。きっと謝っても許してくれない。嫌われちゃった……」

私は光樹にしがみついた。

「…ただ秀の喜ぶ顔が見たかっただけなのに…プレゼント渡したかっただけなのに……………なんであんなっ…」

やっぱり泣いてしまった。思い出しただけで胸が痛む。

もう少し他の言い方があったはず。

秀はただ単に昨日何してたかを聞きたかっただけかもしれない。

それなのに………

「………もう………………むりなのかな………」

私は顔を上げて光樹の顔を見た。

「…ふっ………もうダメなのかなっ………!」





「…………………………………」

「…………………………………」


「………静かにしろ。」



「!?」

今まで乱れてた心が一気に落ち着いていく。

光樹は私の唇の端っこにキスしたのだ。


何をしたの?


「………………お前…俺と付き合わないか?」


「………へ?」


「俺ならお前を泣かさない!寂しい時にはずっとそばにいる!欲しいものがあるならなんでも買ってやる!…」

光樹はギュッと私を抱き締める。

「…………………泣いてるお前は嫌なんだ。悲しいなら俺が笑わせてやる。お前を大事にするから…………………」


光樹は私の肩をつかんだ。

「秀じゃなくて俺じゃダメかな?」

私は光樹の顔を凝視した。

顔は真っ赤。ちょっと泣きそう。





「………………………光樹…ありがとう」

私は精一杯の笑顔を見せた。





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