諦めたけど好きです

SIDE秀③



あれから色々あった。

変なドリンク飲まされたり、文化祭で不審者が現れたり、告白されたり。
そして…………




「おい!那奈!!」


廊下でバカデカイ声が聞こえた。


「…………なに?」


「あのさ!今日の放課後あいてる!?もしあいてたら買い物に付き合ってくんない!?」


俺が教室から顔を覗かせると、光樹と那奈が話してるのが見えた。


またあいつらかよ…………



最近、ずっとあの二人が一緒にいる気がする。



実は文化祭の次の日。

俺が告白されて断った日。

断ってそのまま帰ろうと思ったけど、忘れ物に気付き教室に戻ろうとした。


そしたら那奈と光樹がいた。
あの光景は今でも覚えている。

那奈の顔は見えなかった。

でも光樹の顔は見えた。

あの光樹の顔………………………

たぶん那奈のことが好きなんだろう。そんな顔してた。

あの時は無性にイライラした。

なぜかわからない。

けれど早く二人が帰ればいいのになんて思ってた。





「やったぁ!ありがとな!んじゃまた後で!!」

俺は光樹の声で我にかえった。


二人で買い物か……………………




「はぁ………」





ー次の日ー

那奈が走って来た。

「あ、あのさ!明日暇かな?なら…私と…出掛けない?」

見るからに緊張してるのがわかる。


…………………明日?



「明日?…………二人で?」

「うん!二人で!!」

「…まぁいいけど。」


二人で……………………………ね。



その後、俺達は別れて帰った。


家に帰りベットに倒れる。


「………那奈と……………二人で……………………………」


ヤバイ…。なんか顔がにやけてる。

久々に友達と出掛けるからな。

少し浮かれてるんだろう。


「……………アイス買ってこよう」

俺は甘いものが好きだ。

そして俺は何か嬉しい事や良いことがあったときは自分へのご褒美としてアイスをかって食べている。



家を出てコンビニに向かう途中。


「あら?秀君じゃない!こんにちは!」


「こんにちは。」

ペコリと頭を下げる。光樹のお母さんだ。

「ひさしぶりね!元気にしてる?相変わらずイケメンねぇ」


「アハハハ」

イケメンと言われたら笑うしかない。


「これから那奈ちゃんとこいくのかな?」

「?いえ、コンビニに行こうと思って……」


なんで那奈の家?


「あらそうなの?ごめんね、勘違いしちゃって。てっきり光樹が呼ばれたから秀君もなのかなって…………ごめんね~。気にしないで~」


光樹が那奈のいえに?


「それじゃぁね」

「はい。さようなら」


俺はすぐに家に帰った。部屋に入ってすぐにコンビニにいくのを思い出したが、それどころじゃなかった。


また二人で…………………



俺は前に那奈からメールで送られてきた"挑戦状"を読んだ。


「なんだよ………………………俺が好きっていったくせに…」



「…………なんなんだよ……」


携帯をなげそうになった。

「…………はぁ」


またため息が出た。



ー次の日ー


まだ俺はイライラしていた。


急ぎ足で待ち合わせ場所にいく。


昨日は光樹と何をしていたんだろう…………
ずっと考えていた。



「おまたせっ!」

「おう。」


那奈が来た。

メイクしている。一目見てわかった。服もかなり気合い入っているのがわかる。



「…じゃ行くぞ」

「…うん。」

俺と那奈は歩き出した。


「ちょっと待って!早い!」

「………………」
那奈は俺について行こうと少し走る。

「待ってってば!」

「………わかったよ」
俺は歩く速さを少し遅くした。

「……………おい。」

俺は那奈の方を見ないで問いかけた。

「何?」

「………この前、光樹と買い物してたんだ?」

那奈の方をチラリと見た。
明らかに動揺してるのがわかった。


「…うん。そうだよ。なんで?」

「なに買ったんだ?」

「…別にたいしたものじゃないよ」

「だから、それがなにかを聞いてるんだよ」

イライラする。
なんではぐらかすんだよ。

「別に何を勝手もいいでしょ!秀には関係ないから!」

「………そうかよ」

…… 関係ない………………ね。

今度は胸がモヤモヤした。

また二人は無言で歩いた。

「昨日も光樹とあってたんだろ?」

「え?」

那奈の目が見開かれる。

俺は続けた。


「なにしたんだよ?」

「………………別に」

「そればっかじゃん。そんなに光樹といたいなら、買い物の付き添い俺じゃなくて、光樹と来れば良かっただろ。」



違う。俺はこんなことを言いたいんじゃない。
本当は……………………

でも止められなかった。


「………何が言いたいの?」

「そのまんまだよ。俺じゃなくて光樹の方がいいんだろ?なら俺は必要ないだろって。」

「違う!私は………………私は………………」

………ここで那奈が光樹を選んだら俺はどうしよう。

俺が聞いたのに頭の中ではそれを拒否していた。


「………俺には関係ないよな。光樹と二人だけの秘密ってか?」

「なんでそんなこと言うの!?」

自分でもかなり性格が悪いと思う。



「…別に光樹なんか……………」

「それが本心じゃないだろ。」

俺は那奈の目を見た。

そして目があった瞬間、那奈は目をそらした。




「………俺、用事思い出したから帰るわ」

「え!?」


「じゃあな」

「待ってよ!」





俺は何を期待していたんだろう。


苛立ちがおさまらない。


あいつが好きなのは俺だった。


それは過去であって現在ではない。


「……………はぁ…」


ー次の日ー

俺は風にあたりたくて屋上に向かった。


そこで俺は見た。


那奈が光樹から告白されているところを。



断ってくれ……………………


盗み見見ていた。ずっと。那奈が答えを出すまで。




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