諦めたけど好きです
片思いは攻撃中


宣戦布告から早3日。そろそろ攻撃を開始しようと思う。

ズバリ。「肝試しで可愛いところを見せて、ドキドキさせちゃう大作戦!」だぁ!!

実は、クラスのみんなで肝試しをすることになった。

場所は墓場。

男女2人組で墓場を一周して帰ってくると言う、肝試し。

(はっきり言って、めんどくさかった。)

でも男女2人でまわると来たら話は別だ。

男も女も、好きな人と行きたいと願っている。

そして、今日はそれを決めるくじ引きの日!

これで…秀と一緒に……


『ドキドキ………なんか怖いね…………』
『そうか?那奈は怖がりだなー』
『こ、怖がりじゃないもん!……きゃぁぁぁ!』
『!?どうした!?』
『……びっくりした…なんだ虫か~』
『おい。俺もビックしたよ。』
『ごめんごめんって私!秀に抱きついてる!?何 で!?』
『お前が抱きついてきたんだろう!』
『えっそうなの!やだ…私ったら……すぐ離れるね…』
『別に怖いなら腕にくっついてても良いけど……」
『え?』
『いやさっきのびっくりした時の那奈、可愛かったから
近くで見れたらなーって』
『秀……』



~なんて展開に…………

「ちょっと那奈!!」

「!はいっ!?」

「ぼっーとしてないで早くくじ引いてよ!!」

私は妄想してて気づかなかった。

「あぁ、ごめん」

くじ引きの箱に手をいれた。

(秀とがいい!お願いしますお願いしますお願いします…)

1枚手に取り開いてみる

「え~と、"C" だ!」

「じゃあ、"C"を引いた男子と回ってね。」

なるほど、同じ文字の人と回るのか。

「おーい。"A"の人いるかー」

「ぁ、私!」

クラスのなかで、呼び掛け合っている。

「"C"の人誰だー」

呼ばれた!

「はいはーい!私!私!」

「………………………げっ!!」


「………………………うわっ!」

お互いに顔を見て嫌そうな顔をする。

((お前かよ))

…今きっと同じ事を思っただろうな。

新井 光樹。同じクラスの男子でちょっと子供っぽくてなにかとうるさい。

「……はぁ」

「今ため息ついたでしょ!!」

「だって……よりにもよってお前か………」

「………喧嘩売ってる?」

キッと光樹を睨む。

「怖っ!だから女扱いされないんだよ!」

おいおい。こいつは人の気にしているところを…………

光樹はまだぶつぶつ文句を言っている。


……くそっ!これでもう、「肝試しで可愛いところを見せて、ドキドキさせちゃう大作戦!」が出来なくなっちゃったじゃないか!!

私は秀のところに行った。

「……秀は誰とペアになったの?」

「あぁ、俺?俺は……………内緒」

クスッと秀は笑う。

なんだその最後に、ハートマークがつきそうな可愛い台詞と顔は!

(誰となの!?気になるじゃん!!)





~肝試し当日~

「おーい!みんな集まったー?」

夜の8時に墓場に集合した。

墓場は暗くて、周りは気で囲まれていて中々雰囲気がでてる。

「はぁ~なんでお前なんだよ~」

まだ光樹は文句言っている。

さすがにイライラする。

「うるさい!!決まったもんは仕方ないでしょう!?
そんなんだからモテないんだよ光樹は!!!」

「おまっ!……それは言っちゃいけねーだろっ!?」

「ふんっ!本当のことだもん!」


「………いいからスタートしてくれない?」

企画した友達が良い作り笑顔で言いにきた。

「あ………………はい。」

一瞬光樹のせいにしようと思ったが、反論出来ないなと思わせる友達の顔を見てやめた。

「はぁ~。じゃあいくぞ那奈。」

こいつ……ため息何回目だ。

「そんなにため息ついてたら幸せ逃げるよ!」

「…今が幸せじゃない。」

そこから2人の会話は消えた。


…………………………おぉ。これはかなり…………怖い…。


たまに風で鳴る草の音でかなりビビる。


光樹を見た。



……あぁ……………こう……なんかなぁ…………………頼りないなー
汗だくで………弱気で…さっきの威勢はどこ行ったんだよ。


無言で2人はずっと歩き、中間地点を過ぎたかなと思ったとき。

「……………!おい!」

「!なに!?」

光樹がいきなり私の肩をつかむ。

「さっきそこでなにか動いた!」

「………なにかって…………なに?」

「わかんねぇよ!でも…………なんか白いもんが……」





「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」



「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

なにか出てきたぁぁぁ!!



私は驚きすぎて尻餅ついた。



「…………ぷっあははははははははははははは!」

また私はビクッとして、声の方を振り替えると白衣を着た秀が笑っていた。


「…………………は?」



「あはははははは…………いやー1番良い反応だった!今のは!クククッ」


………なるほど、これはあれか……お化け役か。


「俺ねお化け役引いたんだ!だから白っぽいもん着てみんなを脅かしてたんだけど………クククッ」



あぁ、もう自分が嫌になる。ビックリした時の叫びかたが「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」って…………

女は「きゃぁぁ!!!」だ。いや、反射的にあの叫び声は………………


……………………もう一回やり直したい…………………


「……………そう言えば光樹は?」

私は辺りを見回したが光樹の姿が見当たらない。

「………………………ここだぁ」

「!?」

横の植木から、ゾンビかと思う登場で出てきた。

「ビックリして、走って逃げようとしたら、植木に顔から突っ込んだ………」

おぉ、よく見たら傷だらけだ。

そして、私を置いて1人で逃げようとするとは………

「さて。お前ら早くゴール行け!次の組がきちまう。」

秀が急かす。

「あ、うん。光樹行こう…!?」

「ん?お前どうした?いくんだろ?」

光樹が聞いてくるが答えられない。

これは………どうしよう……座ったままで立てない。

「おい?どうしたんだよ?」

「………たぶん…さっきのでこしが抜けて立てない…(

「はぁ!?マジで!ババァかよ!?」

「うるさい!!一目散で逃げたくせに!」


もう、今日は秀の前で恥をかきっぱなしだ。

穴があったら入りたいと、今ほど思う時はないだろう

そんな事を思ってると……なぜか体か宙に浮いた。

「!??!?」

自分の体を見ると、お姫様抱っこされてる状態になっていた。


こっこれは!好きな男にやってもらって、めちゃくちゃときめくと言う……女の憧れの………

相手の顔を見る。






「…………!?光樹!!!??」
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