諦めたけど好きです
片思いから宣言!
お祭りの次の日。

私は、家の玄関で大きく深呼吸した。

そして、全力でダッシュした。

学校が見えて、秀の登校姿を見つけた。

(思いっきり……)

「…たぁぁっっ!!」

「っ痛ってぇ!?」


秀が悲鳴をあげる。

私は、秀の背中に思いっきり飛び蹴りをかました。

「!?…??」

秀は苦しそうに顔を歪めて私を見る。

「……昨日のメールみたでしょ?」




私はお祭りの後、家に帰って泣いていると秀から、『ごめん』とメールがきた。

さんざん迷ったあげく私は秀に、返信した。

内容はこう。



『 ~宣戦布告~
私は、秀のことが好き。
これは、前も今も変わらない。
でも知っている。秀はそれを受け入れられないんでし ょう?
なら、私は宣言する!
秀に、「あぁ!!何で俺はこんな可愛いお姫様を受け 入れなかったのだ!なぜだ!」
、と後悔させてやる!
勝負だ!!
秀が後悔するのが先か、私が他に好きな人ができるのが先か!

絶対に勝ってやる!!!

秀へ
那奈より』




「…あぁ見たよ。なんだよあれ。」
秀がうんざりした顔で聞いてくる。
「メールに書いた通りだよ!宣戦布告!絶対に負けないからね!」



諦めるのは、もうやめた。


コソコソ想い続けるのも、もうやめた。


逃げ隠れはしたくない。


負けず嫌いは昔っから。


「秀。わかった?」
「……何で飛び蹴りしたんだよ?」
「昨日、告白ドッキリしてくれたからこれでお互い様で しょ?」
「それでか………」
地面に座っていた秀が立ち上がった。
「めんどくせーな。宣戦布告ってやつ。」

(秀は挑発してるのだろうか。
本当にそうなら、もう1回飛び蹴りをやってやる。)

そんな事を考えていたら、私の頭の上に秀の手がおかれた。

「受けてたつよ。その勝負。」

無邪気な笑顔で頭をポンポンしてくる。




『ドッキーン!
那奈は秀から頭ポンポンの攻撃をくらった!
那奈は胸キュン130のダメージ!
那奈の「顔が赤くなる」のスキルが発動した!』


(ふ、不意討ちはずるい………)


秀は私の頭をポンポンしたら、何もなかったように学校に入っていった。

「…………絶対に!その頭と心臓打ち抜いてやる!!」


私は空に向かって大声で叫んだ。








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