突然ですが、オオカミ御曹司と政略結婚いたします
 つま先から自分の姿を見返した。

 彼が選んでいてくれたこのシルク素材のドレスは、腰もとにパールがついただけのとてもシンプルで大人びたデザインをしていた。背の低い私のために彼がオーダーメイドで作ってくれたものだが、果たしてこんな素敵なドレスが自分に似合っているのか心配になった。

 ヘアメイクさんが巻いた髪をアップに、綺麗にメイクもしてくれたから、多少見られるようにはなっていたらいいんだけど。

 朝から、もう何度目かわからないため息が漏れた。

「日菜子?」

 項垂れていた顔を上げる。声のする方を辿ると、現れた予想外の人物に私は何度も目を瞬かせた。

「こんなところで、なにやってんだよ」

 立っていたのは、スーツ姿の真紘だった。白の手袋を手に持った彼が、こちらに近づいてくる。

「ちょっと休憩してたの。真紘こそ、どうしてここに?」

 ドレスの裾をたくし上げて私も駆け寄った。
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