突然ですが、オオカミ御曹司と政略結婚いたします
「こんなところでなにをしてる。外の空気を吸いに行ったんじゃなかったのか?」

「あ、えっと……」

 まごつくと、彼はさらに苛立ったように奥歯を噛んだ。思わずぎくりとする。

「行くぞ」

「あ、待って!」

 手を掴まれるが、それを振り払った。

「今は……」

 この状況をうまく言葉にするなんてできるわけもなくて、顔を背ける。まだぬくもりの残る自身の手をもう片方の手で包んだ。

「そんなにあいつと一緒にいたいのか?」

 微かに震える声に、視線を流す。彼は、深い悲しみに顔を歪めていた。困惑で思考が停止する。

「……どうしてそんなに怒るのよ」

 前のめりになり、耳もとのピアスが大きく揺れるのを感じた。

「立花様、申し訳ございません。私は失礼させていただきます」

 いつのまにか隣に来ていた真紘が、声を掛ける。ハッとした。
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