突然ですが、オオカミ御曹司と政略結婚いたします
「真紘……。ごめん」

 彼は、一礼してから歩き出す。玄関口の方へと向かうその背中を、眉尻を下げて見送った。

 真紘……。

「来い」

 強制的に視界が変えられる。再び私の手を取った創は、裏口からホテルの中へ入った。長い脚が、ズンズンとどこかへ進んでいく。

「ちょっと創、痛いってば」

 投げかけるが、止まる気配などなかった。上階の客室が並ぶ廊下を歩く。ある一室の前でようやく足を止めた彼は、開錠してドアを開けると、私を抱え上げて部屋へと入った。

 嫌な予感が背筋を冷たく流れる。

「なにする気!?」

「なにって、ここまでされてわからないのか?」

 彼は私をベッドに下ろした。そして、自身も上ってくる。スプリングがギシッと軋む音が響いて、身体は硬直した。彼が、膝をついて私の上に跨る。見下ろされる視線に、胸が張り詰めてくるのを感じた。
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