突然ですが、オオカミ御曹司と政略結婚いたします
パーティーは、無事に幕を閉じた。お客様たちをお見送りし会場に戻ってくると、すでに始まっていた片付けの様子を眺め、ようやくほっと胸を撫で下ろす。
「日菜子」
少し遅れて戻ってきた創が、こちらへやって来た。
「お疲れ様」
「あぁ、お疲れ様。祖父には先に帰ってもらった。疲れただろ? 大丈夫か?」
彼は、心配そうな顔で覗き込んでくる。
「少し疲れたけど、大丈夫。家に帰ってゆっくり寝たらすぐに元通りになるから」
「じゃあ、その前に話さないとな。家に帰って起きなかったら困る」
そう言った彼は隣に並び、自身の右腕を軽く上げた。私が小首を傾げていると、「腕だ」と優しく私の手を取って絡ませる。
「行こうか」
彼が、芝居じみた口調で言う。視線が絡み合って、互いに噴き出すように笑みを零した。
「ここに行くの?」
彼が足を止めたのは、ホテルの屋上にあるテラスだった。うなずいた彼が、入口のガラスドアを一気に押し開ける。陽が差し込んできて、その眩しさに目を細めた。そのまま彼の腕を引き、柵のところまで走る。