禁断の恋、する?
姫花がくるりとその場で回ると、動きに合わせてプリーツがひらひらと舞った。胸元の赤いリボンも、忙しそうにぱたぱたと風に靡いている。
姫花は、148cm38kgという華奢な体つきに顎の下で揃えられた艶のある黒髪に大きな瞳、すらりと長い脚が人目を引く美少女だ。
しかも、代々この地域の代表を務める政治家の一族のひとり娘。祖父は政治家、父親は医者で、家は地元では「白亜の城」なんて噂されるくらい大きくて広い。
……あたしとは大違い。
あたし、雨宮憂は、どこにでもいるごくごく普通の女の子。唯一の特徴といえば、腰まで伸ばしたストレートの黒髪くらい。
両親は……中学校のときに事故で亡くしてる。
だから、今は両親と暮らしてた家でひとり暮らししてる。たまに親戚の叔母さんが面倒を見にきてくれてたけど、最近は会ってない。
「ブレザーってさ、やっぱりいいよね! 高校生って感じ……」
確かに中学校はセーラー服だったから、ブレザーって新鮮かも。
「……あれ、そういえば悠斗は?」