夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】
「お父様の事は、私共が代わってお調べ致します。
ですから、どうかお待ち下さいませ」
落ち込む私を見て、ローザは優しく肩をポンポンッと叩いた。
「……うん。
我が儘言って、すみません」
今なら分かる。
彼女は意地悪じゃなくて、私の事を心配してくれてそう言ってくれてるんだと……。
これ以上困らせる事は出来なくて、私は引き下がるしかなかった。
けれどーー。
頭で理解していても、一度湧き上がった気持ちはなかなか収まってはくれないものだ。
ローザの部屋を出て、私は廊下で手に握っていた銀バッジを見つめる。
「……どんな人だったの、かな?」
今まで父親の事を意識しないようにしていた反動だろうか?
私は無性に、お父さんの事を知りたくなっていた。