夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】

***

船を乗り継いで三日後ーー。


「っ……すっご~い!!」

船を降りて、私は思わず叫んでしまった。


港部分を駆け抜け、街に入る手前で立ち止まると、目の前に広がる光景に感動。

今までに見た事もない、顔や身体の方向を変えないと見渡せない位に大きくて広い、賑やかな街。
見上げるばかりに高い建物の数々が街の奥の方まで連なっている。
人もたくさん居て、よく分からない言葉を話してる人や、珍しい髪色や目の色の人もいる。

ここが”差別のない街”として知られる、夢の配達人が拠点とする街なんだ。


港街のすぐ近くには駅もあって、電車も通っている。
実は以前自分が住んでいた町がこの港街から電車で二駅程の所にありながら、これまで一度も訪れる事が出来なかった憧れの街。
電車の料金は私の生活からしたら高額だったし、「女の子1人で行っちゃダメ」と母から強く言われていたから。

でも本当は、夢の配達人の隠れ家があると知ってからずっとずっと来てみたかった。
夢の配達人に……。

いや、ヴァロンに会うためにーー。
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