夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】

(4)


バカ、だなぁ。
こんなに格好良くて素敵なバロン。
今まで恋人がいなかった訳がない。

私と違って、きっと恋愛経験だって豊富な筈だ。


そりゃ、私と同じ部屋でも平気だよね。
バロンにとって、私はきっと”女性”じゃないんだもん。


ねぇ、貴方はどんな女性が好きなの?

”リディア”って、どんな人?


言葉に出来ない問い掛けが、私の心の中で何度も響いて……。
響いた叫びが、私の目から涙になって溢れた。


痛い、苦しい。

私は泣き声が漏れないように、ベッドの上で布団に包まって……。
夜が明けるまで、泣いていた。

……
………。
< 205 / 475 >

この作品をシェア

pagetop