夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】

(2)


夢の配達人に、お父さんの事を聞きたい。

私の願いを叶える為に、バロンは金バッジの大男に戦いを挑んでくれた。
勝負方法は、ウオッカの飲み比べ。


私とたくさんの野次馬達が見守る中。
まずは大男が小さなグラスにお酒を注ぎ、バロンに差し出す。


「そう言えば……。
オレ様が勝った時の報酬は決めてなかったな」

ニヤニヤと笑う大男。
バロンは注がれたお酒を飲み干して、ニッコリと笑みを返しながら答える。


「必要ないんじゃない?
……だって、勝つのは僕だし」

「ハッ、言うねぇ~」

返事を鼻で笑いながら、大男も注がれた最初の1杯を余裕に飲み干す。


そこからは暫く無言で見つめ合ったまま、1杯、また1杯……。
互いに注がれては飲み、注がれては飲み、の繰り返し。

二人が飲み干す度に、辺りの観客からは拍手と歓声が湧き上がる。
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