夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】

「おまけに倒れて、迷惑かけて……。
あ~あ、格好悪……」

「ーーバロンは格好良いよっ!」

想いが弾ける。
彼の言葉を遮って、私はそう叫ぶとバロンに抱き付いた。


「そ、そんな風に……言わないでっ?
そりゃ、ヴァロンはすごいし……。
憧れてる、けど……」

やっと分かった。
私は、貴方の中にヴァロンを見てたの。

幼い頃、独りぼっちだった私に猫バロンをくれたヴァロンと。
あの別荘で、独りぼっちだった私を連れ出してくれた貴方を……。

私の為にいつも必死で、夢を叶えてくれる貴方を……。
夢の配達人、ヴァロンと重ねてた。


でも、違うの。
私の心は、いつも貴方を捜してる。

バロンに近付きたくて、触れたくて……。
こんなにドキドキさせてくれるのは、貴方だけなんだからっ!
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