夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】

その光景を見て、私は昨夜の事を思い出した。

考えなしに別荘を抜け出してしまった私。
当然、帰る時の事など頭になくて……。

でも、彼は「僕に任せて」って言って……。
見事な起点を効かせて別荘を守る警備達の目を盗み、私を無事に、誰にも気づかれる事なく部屋に帰してくれたのだった。


あの時は色々あって、疲れていたし……。
夢と現実の間に居るようで、たいして疑問に感じなかったが……。
ようやく、彼のそのすごさを痛感した。

その上、別荘の警備達より強いって……。


ーー彼は、一体何者なの?

私と使用人達が驚いて絶句する中。
いつの間にか警備長だけを残して、他の警備達は彼に当身を食らわされて床に倒れていた。


「……口程にもない。
こんなんじゃ、”お嬢様”は守れませんよ?」

彼はパンパンッと自分の服を払うと、ニコッと笑って警備長を見た。
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