夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】
(2)
「素晴らしい!!
短期間で良くここまで成長したものだ。
これなら、何処に嫁に出しても恥ずかしくないな」
「っ……ありがとうございます」
アルバート様は笑顔で椅子から立ち上がると、花嫁修業の結果を満足そうに頷きながら認めてくれた。
頭を下げた私の耳に届く、大広間に響くくらいのたくさんの拍手。
先生方や見守ってくれていた使用人達、みんなが私を”お嬢様”と認めてくれた証だ。
「皆の者も、本当によくやってくれた。
さすがは我が家の使用人、警備達だ。
この働きには充分な恩賞を与えよう」
上機嫌のアルバート様の言葉に、頭を上げた私は心からホッとした。
……良かった。
今までの私の頑張りは、無駄じゃなかった。
私を支えてくれたこの別荘のみんなに、少しはお礼が出来たかな?
感謝の気持ち、表す事が出来たかな?
胸が熱くなって、全て終わったのだと緊張が緩み、涙がこぼれそうになった。