夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】
「やめろッ……!!」
目に映ったと同時に、俺の口から出た叫びーー。
やっとの思いで見付けたアカリは、人集りの中心で大男と向かい合って、酒の入ったショットグラスに口を近付けようとしていた。
息を切らしながら駆け寄り、アカリの手からグラスを掴んで奪う。
少し驚いた表情で俺を見つめるアカリ。
ーー抱き締めて、しまいたい。
瞳が重なった瞬間。
ホッとして、夢の配達人としての仮面が……。外れそうになる。
……っ、しっかりしろッ!!
俺は自分を奮い立たせて、グイッとアカリから奪ったグラスの酒を一気に飲み干すと、空のグラスをガンッ!とカウンターに置いた。
なんとか”バロン”に戻って、状況を把握しながらこの場の対処を考える。