にせもの王子さま
王子さまがみつからない!

どうしよう、どうしよう、どうしよう!

おしゃれな服を身にまとった人々が足早に行きかうおしゃれなこの街で、私、関口あやは1人顔面蒼白だった。

社会人3年目の24歳。

就職氷河期と言われた就活時期を死にものぐるいで走り抜け、やっとの思いでしがみついた芸能プロダクションの社員の座。

これで、ピザを注文しようとしたら「片道30分以上かかる」という理由で配達を断られるとか。最寄り駅が遠くて、駅まで行くのにバスで1時間かかるとか。
病院も近くにないのに、年齢を重ねてから、「セカンドライフは田舎で」なんて言えるのは、田舎に住んだ事がないからだっ!

・・・とまあ、とにかく、不便さを挙げればキリがないぐらいの田舎とはオサラバ!
グッバイ田舎、こんにちはおしゃれな都会!
私はこの街で、おしゃれで素敵な人生を歩んでみせる! と意気込んで上京してきた。
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