憧れの彼と、イイ仲になりたいんです!
引っ込み思案の私と人気者の彼
今日も私は同じ部署内で働くメンバーを遠巻きに見ていた。

円陣を組むように丸くなった人達の中心で話をしているのは彼。

三年先輩で主任を務める坂巻大智(さかまき だいち)さん、二十八歳。

女子にとっても人気がある男性で、出社してくると間違いなく女子の誰かに挨拶され、そのまま喫煙ルームで会話してから部署にくると同時に、また別の女子からも話しかけられる人。

それも嫌な顔一つ見せずに応対している。
まるで、ホストか何かの様に自然とこなしている姿は流石としか言いようがない。




(いいなぁ…)


声も漏らせずグループを見つめる私。

坂巻主任と同じ営業二課で働く一般職の諸住 杏(もろずみ あんず)、二十五歳。


名前の通り、杏が熟する頃に生まれた私は、身長が155センチにも満たない小さな女子だ。


顔も丸顔で地味な方。

濡れるとクルンと巻いてしまうクセ毛が嫌いで、肩以上に髪を伸ばしたこともないし、普段も一生懸命にアイロンで伸ばしてから出社するくらいにコンプレックスを感じてる。

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