手をつなごう
「洋ちゃん、彩先生……いた?」

悠の電話を受けたのは、それから15分してからだった。

「嫌………まだ。」

「ごめん。オレが、自分の私的な感情を優先してたから。
もうちょっと全体を見るべきだった。」

落ち込む悠。

悠によると、唯ちゃんが無理をして倒れそうになったらしい。

それで……『オレがフォローする。』って宣言して……庇ってたみたいで……。

………………………悠は全然悪くないけど……………

彩ちゃんには…………キツイよなぁ。

オレがもう少し………見守るだけでなく………声をかけた方が良かったのかなぁ?

黙り混むオレに

「洋ちゃん………ごめん。」って、もう一度謝る悠。

「アホ。
悠は全然悪くないだろう。」笑いながら言うと……

「洋ちゃんの大切な人なのに………」って。

コイツまだそんなこと思ってたのか??

そりゃ、彩ちゃんの気持ちに気づかないはずだ。

オレの存在が、彩ちゃんの邪魔をしてた??

誤解だけは、本当に解いておかないと………彩ちゃんが可哀想だ。

「悠、前にも言ったけど……
彩ちゃんにそんな感情はないよ。」

「だって、そんなに必至になってるから…………」

あぁ~。

オレの行動に誤解したのか。

唯ちゃん、約束を守れなくてごめんね。

内緒にすると、かえって彩ちゃんが悲しむから……教えるね。

心の中で、唯ちゃんに詫びて話した。
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