手をつなごう
「沢山、ありがとうございます。
コロッケパン1つと……クリームパン1つ。あんパンが3つで…
ウインナーロールが1つ…………」

高校生の時、コンビニでレジをしていたらしくて……

即戦力になってくれる彩ちゃん。

可愛い笑顔でお客さんを迎えてくれるからか……

ここのところ売上が向上中だ。

オシャベリおばさんも

『安心してレジが任せられる』と商店街の人達とオシャベリに花盛りで

うちの店は静かで有難い。

「彩ちゃん、お袋が帰って来たから
裏でコーヒーとパンで休憩するといいよ。
いつも同じで申し訳ないけどね。」

「ありがとうございます!
洋介さんのパンのファンだから……毎日通って来てたんですもん!
おやつの時間、嬉しいです。」

こんなことを言われたら、『もっと美味しい物を作ろう』って毎日頑張れるから

オレも単純だよなぁ~

「彩ちゃん、新作を何個か考えたんだけど……
帰りに持って帰って、味見してくれる?」

「わぁ!楽しみです!!
先月の新作の『安納芋のモンブラン』も大ヒットですし。
口コミで広まったみたいで、女子高生もよく買いに来てますよ。」

「いやいや、それは彩ちゃんのお陰だよ。
ところで、大学の方は良かったの?春からの準備もあるだろうし……
無理せずできる範囲でいいからね。」

「これでも優秀なんですよ!
単位はもちろん大丈夫ですし、卒論もグループディスカッションなので
問題ないです。
あるとしたら……春から住む所を探すくらいかな?
実習に来てた時にお願いしていたアパートが
大家のおばあちゃんが体調を崩して入院されたから……ダメになっちゃったんです。
賃貸マンションもあるにはあるけど……予算的に厳しくて………
洋介さん、何処かないですかねぇ?」

「入院したのって……裏のおばあちゃん?
それで……ご近所さんになるって言ってたんだ。
住む所かぁ~。
タンポポ幼稚園だったら………やっぱりこの辺りがいいよね?
ちょっとあたってみとくよ。」

「ありがとうございます!!助かります。
よろしくお願いしますね。」

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