手をつなごう
サービスエリアを出ようとしたら

オレの車の窓を叩くおじちゃん。

『洋ちゃん、オレはコイツの家に泊めてもらうから
明日また、ここで待ち合わせね。』

別荘の家主さんの家に、泊めてもらう事になっていたおじちゃんは……

『洋ちゃん、悠ちゃんに負けないで……
彩ちゃんをものにするんだよ!!』と……

的はずれな応援をして、友達の車に乗り込んだ。

『洋ちゃ~ん。
彩ちゃん、フリーだから……ものにしちゃいな。』

冗談半分の本気のトーンで、オレに彩ちゃんを薦める海晴ちゃん。

きっと…………

オレと同じ思いで、彩ちゃんを見ているはずだ。

『慰める時は………一緒に手伝ってね。』オレの言葉に。

『洋ちゃん、分かってんじゃん!!』って……。

こう答えるってことは…………。

海晴ちゃんは………侮れない。


彩ちゃんが

友情を大切にしているのは…………本心だと思う。

でも……………

悠を好きな気持ちも…………本当だと思う。

ただ、彩ちゃんは唯ちゃんが大切過ぎて……………

自分の心を大切にすることを…………………忘れてるんだと思った………。

唯ちゃんや悠に…………『好きではない』と……

嘘をついてもいいと思う。

けど………自分には………嘘をつかないで欲しい。

いつか自分の心が嘘だと気づいた時に…………

自分自身が苦しむから。

もしも……このまま嘘をついてしまうのなら……………

せめて、オレか海晴ちゃんが近くにいる時に………

嘘だったと気づいて欲しい…………。
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