めざせクリスマス
帰りは、彼の家が高円寺で、私の家が荻窪だったので、同じ杉並区ということもあり、彼は私の家の近所まで送ってくれた。



電車で帰ってきて、私の最寄の駅、荻窪駅で彼も降りて、私を送ってくれ、それから、


「どのくらい時間がかかるかわからないけど、歩いて自分の家まで帰る。」


と言ったので、


「家でお茶でも飲んでいく?」


と誘おうか悩んだが、今日は、着て行く洋服を箪笥ひっくり返しながら選んで、片付けずに出かけたので、部屋が散乱していて、そんな部屋を彼には見せられないと思ったので、


「送ってくれてあるがとう。」


と言って別れようと思った。



返事をすることをすっかり忘れて・・・
 


しかし、彼はしっかり覚えていて、私が、


「さようなら」


という言葉を発する前に、


「俺と付き合っていただけませんか?今日、デートしてみて、改めて、俺には君が必要だと感じた。


そしてどんどん惹かれていっている。


好きです、付き合ってください。」


と言ってきた。
 


彼の表情は真剣そのもので、迷いも何もなかった。
 


「私も好きです。


よろしくお願いします。」


と私は、気が付くと今の正直な気持ちを言っていた。



返事をした後、彼の私を見る目線が恥ずかしくて下を向いていた。



好きな人に見つめられるなんて、もう何年もなかったことだからだ。
 


そして彼のことをもっともっと知りたかったのだ。  
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