恋のコーチは期間限定
 ラリーなんて久しぶり!

 楽しくてつい思いっ切りフルスイングで打ち返した。

「あ………。」

 お陰でホームランだ。
 コートを飛び越えた後ろの高い位置でネットに当たったボールがバウンドしてコロコロと転がった。

「ハハッ。癖ってすごいな。
 移動しながらグリップ握り変えてましたよ。」

「ごめん。つい楽しくて。
 だいたい最初のあの容赦ないサーブひどくない?」

「コーチとして舐められちゃ困るんで。」

「え………それって。」

「俺、高坂蒼葉っていいます。
 俺で良かったらしますよ。コーチ。」

 ボールを拾い集めながらコートの真ん中に来た彼は手を出した。
 その手に握手で応え「お願いします」と願ってもない申し出を受け入れた。







< 9 / 253 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop