【完】武藤くんって甘くない
「ありがとな」



武藤くんの瞳が優しい。



ふたりっきりだとなんだか違う人みたい…。



ふわっと肩に置かれた手が髪にあたって首筋をくすぐる。



「ふふっ」



「なんでそんな嬉しそうなんだよ」



「嬉しいもん。武藤くんのこと大好きだから…」



「…………」



あら、また黙っちゃったよ。



黙ってると更になにを考えてるのかわからないけど、なんだかこういうのにも慣れてきた。



彼女にしてくれたし、好きっていう意思表示はあったし…ただ、不器用なだけだよね。



「田中って、警戒心ゼロだな。そういうの、俺だけにしろよ」



「え?どういうこと」



ドサッと音をたて、武藤くんが隣に座る。



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