すべては、
「まさか…実里さんも…」



東さんに向いていた視線が、信じられないと私へ向けられる。



「そうです。警視庁捜査五課八係、通称、おとり捜査課の一員です。」


「じゃあ、主任とは本当の夫婦じゃなかった…」


亡くなった和也さんのことを思い出すと胸が痛み、自然と視線が下がった。


「……そうです。」


「そうでしたか。」


声の違和感に顔を上げると、そこにはあの無邪気な顔に満面の笑みを浮かべ、木下さんが嬉しそうに笑っていた。


「じゃあ、あの時の直感は間違ってなかったんですね。始めて貴女に触れた時、二年も結婚生活を送っていたらそんなはずはないと、頭に浮かんだ考えを打ち消しましたが…
実里さん、あなた処女だったんですね。」


「!?」


な、な、な、何ですか!?急に!

処女が悪いんですか!?



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