すべては、
「俺は心配などしていない。バイトに何かあったら指導係の責任になるからな。それを危惧していただけだ。」


先輩のごもっともな言葉に、なぜか朝比奈さんは盛大な溜め息を吐いてそれ以上は何も言わなかった。

それから私に向き直り優しく微笑む。


「実里、よく頑張ったわね。お疲れ様。」


朝比奈さんは子供をあやすように頭を撫でてくれる。

でも、私は喜ぶことが出来なかった。


「目的は無事達成出来ましたが、和也さん…いえ、係長が犠牲に…」


「ああ~俺無事だよ?」


近くの車から申し訳なさそうに現れたのは、紛れもなく係長だった。


「えっ!?係長!死んだはずですよね!朝比奈さんが確認したって!」


「ごめんねー、係長が生きてること木下にバレないように、実里にはだまっておこうって話になったんだー」


朝比奈さんは手を合わせて、苦笑いを浮かべた。


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