すべては、
「これのピアス型ってあったりします?」


「あるけど…お前、ピアス開けてないだろ?」



コーヒーから顔を上げた筒井さんの目が私の耳に止まる。


「開けようと思って…ピアスの方が取れにくいですよね?」










そうして昨日もらってきたピアス型盗聴機と発信器。

私は課の自分のデスクに座り、それと睨めっこ中。

デザインは一緒だが、大きく違うのは耳朶を貫くスタッドが付いていること。

そして、その横に置かれた二つのピアッサー。


家で開けようと思ったのだが、勇気が出ず…
鏡に映る自分の耳との格闘の末諦め、課の誰かに開けてもらおうとここまで持ってきた次第なのだ。


朝比奈さんだったらピアスしてたし開けるの慣れてそう。あとは…

井ノ上さんなら一瞬の躊躇いもなく開けてくれそう。

係長はないか…

私よりビビリそうだし。




だが、待てど暮らせど誰も来ない…


これは、自分で開けろってこと?



「何やってんのお前?」


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