すべては、
実里…無茶はするなよ。

祈るような面持ちで事の成り行きを見守っていた俺に、突入の指示があったのはそれから間もなくのことだった。













木下流路を逮捕し、今回の事件は幕を閉じた。


「東先輩!どうして東先輩が助けに来てくれたんですか!?当初の予定だと東先輩は逮捕の担当じゃないですよね?」


実里のそんな質問に、顔には出さないが正直ドキリとする。


そんなの、お前が心配だったからに決まってるだろ。


など、口が裂けても言えない。


「実里が心配で担当変わってもらったのよね?」


俺達の前に腕を組み、ニヤニヤ笑う朝比奈が立っていた。

こいつ、余計なことを…



「俺は心配などしていない。バイトに何かあったら指導係の責任になるからな。それを危惧していただけだ。」



そんな俺の言葉に、朝比奈は盛大な溜め息を吐いた。

なんだよその溜め息は。



「実里、よく頑張ったわね。お疲れ様。」



朝比奈は実里の頭を撫でた。

実里に気安く触るな。俺だって触りたくても触れないんだぞ。

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