すべては、
発信器のお陰で場所は特定出来たが、突入の指示が出ず、まだあいつを助けに行けないもどかしさでイライラが募る。


「何をそんなにイライラしてるんですか?この仕事をやっている以上、危険が伴うのは彼女も承知の上でしょ。」


呆れた淡々とした声が横から掛けられる。

そいつはヘッドマイクを付け、バンに搭載されたパソコンを操作しながらいつも通り仕事をしている。

きっとこいつには感情がない。


「冷徹野郎。」


ボソリと呟いた声を井ノ上は聞き逃さなかった。


「聞こえてますよ。心配なら首輪でもつけて閉じ込めておけばいいでしょう?」


やれるもんならやってるよ。


「大切に思ってるなら、さっさと辞めさせて下さい。」


「簡単に言うなよ。」


「そうですよね。このまま辞めさせたらもう会えないですからね。」


「ちげーよ。」


あいつには簡単に辞められない理由がある。それを俺が無理矢理辞めさせるわけにいかないだろ。


「どうやら、動きがあったみたいですね。実里さんが話を引き出してます。」



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