すべては、
どう答えるべきか迷っていると、朝比奈さんがぐっと近付き隣に座っていた私の耳に手を添え呟く。


「私はさっさと食べたら席外すからさ。そしたら二人でゆっくりランチデートしてきなよ。」



ランチデート…



「先輩!安月給でお財布カツカツなので私も奢って下さい!」



その言葉に元気よく手を上げて立ち上がった。

そんな私は浮かれるあまり、横で朝比奈さんがニヤリと黒く微笑んだことに気付いていなかった。



「ほらー、こんなに可愛い後輩がお腹を空かせていますよ、先輩。
痩せ細っちゃいますよ?倒れちゃいますよ?抱き心地悪くなりますよ?」


朝比奈さんの最後の言葉が引っ掛かったが、それよりも今は東先輩の返事の方が気になる。


「………」


暫しの沈黙の後、東先輩はイスの背に掛けていたスーツのジャケットを取りスタスタとドアへ歩いていく。



やっぱりダメですよね…



そんな先輩を見て私は肩を落とした。

だが、先輩は途中で振り返って…


「行くなら早くしろ。
バイトももたもたするな。」

「はい!」

「流石東~」


私達は急いで先輩の後に続き部屋を出た。

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