ねぇ、泣かないでよ。

痛いキス





「月島の、彼女だったの?」

「へ?」

「それとも、あんたがストーカーしてただけ?」

「ストーカーだなんてっ。てか、くっつき虫じゃないよ」

「まじか。、、マジで月島の片思い?」






この子、颯汰くんと友達とか?






「あの、、和(かず)くん、だよね」

「へぇ、俺の名前覚えてんだ」

「そりゃ、同じクラスだし」

「なんで」

「え?」

「なんで。覚えてんの」






やっぱり、この子。

、、意地悪。





「あ、月島」

「え、、っん!」




和くんが指さした先に颯汰くんが見えた。

でも、それは一瞬で別の景色となった。





口を固く力強いモノで塞がれ、その上に和くんの唇が触れていた。


私の口を塞いでいない反対の手で腰を引き寄せられ、いくら胸を押しても離れそうになかった。






キスじゃないけど。

傍から見たらキスなのかもしれない。




「よ、、ぅ」



少し離れた所から聞こえた声に和くんはゆっくりと目線を向けて、自由になった口で笑った。




「月島じゃん、久しぶり」


「、、お、おう」


「陽ちゃん。邪魔入っちゃったね」




すごく、すごく。胸が痛い。

痛い、痛すぎる




「陽、、」


久々に聞いた颯汰くんの優しい声が余計に苦しくさせる。



「、、_てぃ」


力を込めて和くんの胸を押せばさっきと違って簡単に離れた。


「最低。」



颯汰くんのことは見ずに下だけを見て

走って、颯汰くんから見えないように遠くに行こうとガムシャラになった。



見られちゃったよ。
多分、勘違いされた。


頭がこんがらがって、何考えていいかわかんないや。

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