ねぇ、泣かないでよ。
祖母と母親のいつもの言い合いが聞こえる中、近くのコップに入った氷が溶ける音が綺麗に耳に届く。
「なんで」
「俺と陽ちゃんって友達?」
「、、そう、なのかな」
「違うの?じゃあ、恋人?」
「違うっ、、友達」
「そっか」
ギッと、少し古いソファーが音をたてた。
今にも上に被さるような位置にいる和くん。
さっきまで空いていたスペースが見あたらない。
「男女の友情ってないと思うの、俺だけ?」
「へ?」
ドンッと押し倒された体は少し怯えた。
『脱げよ。早く見せろよ』
図書室で低く気持ち悪く聞こえた声がどこかから流させているようだった。
「はっ、、、ごめん」
体制を戻した和くんは力が抜けたようにだらけた。
「あーぁ。何やってんだろ」
「、、か、」
「ごめん、陽ちゃん。ちょっと、俺。まだ治ってないみたい」
「、、、」
「陽ちゃんのこと、利用しようとした。、、、俺。帰るわ」
500円玉を置いて帰ってしまった。
そのあとソファーに横に倒れてる私を見て母親が変に勘違いした。
「陽ちゃん、まだ早かったのね」
「余計なこと言うんじゃないよ!」
「いったぁい!やめてよお母さん」
母親と祖母の言い合いがどうでもよく聞き取れなくて、心臓がドキドキとうるさかった。
「なんなんだろう。、、」