剱聖伝
ソリオンは部屋にある窓


の外を見ている。大きく


分厚い雲が天空を覆い、


何時しか雨が窓ガラスを


叩きつけていた。


《来たか》


振り向かず気配を読む。


ソリオンのすぐ後ろに


いつの間にかセシルドが


片膝をつき、頭をたれて


いた。


《お前に国王陛下よりの


勅命を言い渡す……クロー

ディス王子を捕縛し、聖罪

廊へ幽閉せよ!!》


雷鳴が轟き、雨がいっそう

激しさを増す。


《………》


セシルドは動けなかった。

嫌な予感が的中した…


クロード様を…幽閉…そん

な事…しかし命令は絶対…

背く事は出来ない…物心つ

く前からそうすりこまれて

きたのだ。


《セシルドよ…わかって


おるな。命令は絶対だ…確

実に任務を遂行せよ》


心を視透かすかのように


釘を刺す。


ソリオンとは一度も目を合

わす事なく立ち上がり、真

っ直ぐ扉を出ていく……


クロードの元へ……


止まぬ雨が降り続く…


まるでセシルドの心


を反映するかのように…。
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