剱聖伝
無くなりそうな意識を必至

にこらえながらセシルドを

見る。


手の中指に小さな針が


ついている。


暗器…見た目には見えにく

い武器で、小さく隠し持っ

て、相手を攻撃する物。


中には針の先に毒やしびれ

薬などを塗る物もあり、


セシルドの得意とする


技であった。


表情を見たクロードが声を

絞り出す。


今まで見たことも無いほど

悲しい瞳…。


《なんだよ…んな顔…


しやがって…》


そこで意識が途絶えた…。

《クロード様……》


《私は…》


倒れたクロードの体を支え

る。


《申し訳ありません》


冷たい部屋にセシルドの


声が虚しく響いたの


だった。



< 147 / 384 >

この作品をシェア

pagetop