剱聖伝

輪廻と罠

《ここらへんでいいかな》

ルシフォールが地面を見つ

め、そうつぶやいた。


そして、その場にしゃがみ

込むと、手を地面に付け、

何かを唱える。


すると、光の線が円を描き

始め、やがて魔法陣が現れ

た。


真っ白な手に着いた土を


軽く手で払うと、魔法陣の

中心に目を向ける。


《やっとここまで来たか》

まるで表情を変える事なく

そう言うと、ふところから

何かを取り出す。


それは三日月形をしており

、その中に五つの石のよう

な物が埋め込まれている。

その五つのうち四つは黒い

色をしているが、残り一つ

だけがくすんだ白色をして

いた。


一見すると宝石のようにも

見えるが、その物から発せ

られる邪気から、それはま

るで異質のものであるとわ

かる。


《あと…一つ…》


ルシフォールが妖しく光る

石を見つめる。
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