剱聖伝
《くっ…》
再び杖を持つ手に力を入れ
て詠唱する。
『来た…れ、大地の王…
ベヒ…』
《遅いっ》
だが唱えるより早く敵の拳
がティアの顔に直撃した。
声を上げる間もなく飛んで
ゆく。口が切れ、綺麗な顔
が苦痛に歪んだ。
《その表情…そそるねぇ》
もはや異常なまでの不気味
さで近づいてくる。
《ハァっハァ……》
ティアの息が荒くなり
視界が霞んでいく…悔し涙
が頬を伝い落ちる…こん
なとこで……わたし…わ…
や…だ…。
《悪く思うなよ、目撃者は
消せとの命令だ》
敵の剣がゆっくり上がり
頭上に振り下ろされる。
ティアは死を意識した…
今までの事が走馬灯の
ように頭に駆け巡る…
ババ様…ごめんなさい…
絶望と混沌の帳が幕を
下ろそうとしていた…。
************************
第一章 完
再び杖を持つ手に力を入れ
て詠唱する。
『来た…れ、大地の王…
ベヒ…』
《遅いっ》
だが唱えるより早く敵の拳
がティアの顔に直撃した。
声を上げる間もなく飛んで
ゆく。口が切れ、綺麗な顔
が苦痛に歪んだ。
《その表情…そそるねぇ》
もはや異常なまでの不気味
さで近づいてくる。
《ハァっハァ……》
ティアの息が荒くなり
視界が霞んでいく…悔し涙
が頬を伝い落ちる…こん
なとこで……わたし…わ…
や…だ…。
《悪く思うなよ、目撃者は
消せとの命令だ》
敵の剣がゆっくり上がり
頭上に振り下ろされる。
ティアは死を意識した…
今までの事が走馬灯の
ように頭に駆け巡る…
ババ様…ごめんなさい…
絶望と混沌の帳が幕を
下ろそうとしていた…。
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第一章 完